マクロ・業界見通しを判断するのに役立つ企業のコンファレンスコール一覧

投資先を選ぶのにマクロ経済や業界の見通しを考えるのは重要です。しかし、経済の予測というのは難しいもので、プロのエコノミストですら予想をしょっちゅう外します。

時間と情報が限られている中で、自分なりの経済見通しを立てるのに役立つのが企業のコンファレンスコールです。

上場企業の多くは、決算発表のタイミングで説明会を開きます。日本の決算説明会は会場にアナリストや記者が集まってライブで行われますが、アメリカの場合は国土が広大なので、通常は電話会議(コンファレンスコール)の形式で開催されます。

コンファレンスコールのプレゼン資料や原稿がホームページ上にアップされるのですが、その中には経済見通しを立てる上で役に立つ貴重な情報や、トップ企業の経営者達の生の声、見通しがたくさん含まれているんです。

アメリカの元カリスマファンドマネージャーであるジムクレイマーも、著書「ジム・クレイマーの“ローリスク”株式必勝講座」の中で以下のように書いています。

 聞くに値する唯一のコンファレンス・コール
私は内外経済見通しを立てる時に、政府の公式データに頼らず、企業がコンファレンス・コールの場で開示する情報を手掛かりに組み立てる。慎重な投資家を目指す人は、ホームワークをやる際に是非これを活用してほしい。

コンファレンス・コールを利用すれば、巧みなトレーディングと賢明な投資に役立つ世界経済と主要セクターの優れた見通しを立てることができる。これらのコンファレンス・コールを通して、経営の現場の第一人者であるトップ・ビジネスマン達の生の声にもとづいて見通しを立てるなら、それをしない投資家より圧倒的に有利な立場に立てる。値上がりする銘柄に絞り、値下がりする銘柄を避ける確率を、大きく高められるにちがいない。

彼の書籍では、マクロ経済や業界の見通しを立てるためにコンファレンスコールを聞くべき企業がたくさん紹介されています。

そこでこの記事では、ジムクレイマーが「聞くに値する」と推奨している企業の一覧を、(1)マクロ経済の予測と(2)各業界の見通しの2つに分けて掲載します。

マクロ経済の予測に役立つカンファレンスコール

 キャタピラー
  • URL:キャタピラーのIRプレゼン一覧
  • 概要:世界中で重機械を販売しており、トラックのエンジンや、土木、建築工事に使われる建設機械を生産している。鉱物資源を掘削する鉱山機械や資源運搬機械もやっている。キャタピラーは、世界経済の成長率を考える上で不可欠な地域、すなわちアメリカ、ブラジル、ヨーロッパ、それに中国市場を全てカバーしている。
  • 注目点(1):地域別の利益率
    同社のマージンの低下は、需要が後退し始めたことの指標と考えるべき。ある国や地域でキャタピラーの販売にかげりが出始めた時、その国の経済がスローダウンし始めた兆候と捉える。
  • 注目点(2):トラクターの販売動向
    中国経済の現状を反映する最も重要な指標。
  • 注目点(3):商品相場の情報
    キャタピラーは世界中で銅や鉄、アルミ鉱山等を開発する大手業者を相手にビジネスしている。もしキャタピラーが大手の産銅会社から標準以上の大きな機械の注文が取れそうだというなら、世界経済は拡大局面に入っているかもしれない。
  • 注目点(4):トラック向けエンジンの受注データ
    多くのアナリストは運送指数を景気先行指標として利用する。私はその一歩先を読むために、トラックの受注台数に注目する。キャタピラーの巨大トラック向けエンジンの受注データは、アメリカ国内ならびに中国経済動向を示す価値ある情報だ。
  • 注目点(5):的確な為替と金利見通し
    キャタピラーはファイナンス子会社を持っている

 ジョイ・グローバル
  • URL:ジョイ・グローバルのIRプレゼン一覧
  • 概要:キャタピラーの鉱山機械分野の競争相手
  • 注目点:中国の発電量のデータ
    ジョイは石炭鉱山用の重機械に強いが、その売行が発電量と密接に関連している。中国の発電の中心はいまだに石炭火力にあり、10日毎に1基新しい火力発電所が新規稼働すると言われるほど。

 アルコア
  • URL:アルコアのIRプレゼン一覧
  • 概要:アルミの需要動向を製品ライン毎に詳しく説明してくれる
  • 注目点(1):航空機業界の長期的な成長見通し
    アルミの最大市場は航空機業界。同社は全航空機メーカーをはじめとする大企業製造業からの受注実績にもとづいて、航空機及び関連産業の長期的な成長見通しを与えてくれる。
  • 注目点(2):自動車生産台数の予測
    アルコアは世界中の自動車工場で他の金属からシェアを奪っている。自動車の軽量化が進む中で、もしアルコアの受注が落ち込めば、それは他の金属にシェアを奪われた結果ではなく、自動車需要そのものが頭打ちになったことを示している。
  • 注目点(3):アルミ地金の生産動向
    アルミ生産状況は世界経済の体温計とも言える。アルミが生産過剰になっていることが分かれば、循環株は売るべき時だ。アルコアの受注が低調なら、近い将来景気が上向く見込みは立たない。

 GE
  • URL:GEのIRプレゼン一覧
  • 概要:原子力発電および天然ガス発電機器を中心に、エネルギー生産ならびに省エネに関する最大手メーカー。ヘルスケア、航空機製造についても大手企業のひとつ。
  • 注目点(1):政府の予算配分政策から世界の電力、ガス需要動向まで把握できる
  • 注目点(2):中国関連の受注を見れば、中国の景気動向が分かる

 ハネウェル
  • URL:ハネウェルのIRプレゼン一覧
  • 注目点(1):航空機の計器分野で大きなシェアを持っており、世界の航空機業界の動向を図るのに役立つ
  • 注目点(2):気象測定機器→オフィスビル建設の指標として最適
  • 注目点(3):ターボチャージャー→自動車産業の現状を的確に反映
  • 注目点(4):主要事業の5ヵ年計画

 3M
  • URL:3MのIRプレゼン一覧
  • 注目点:東南アジアの動向
    グローバルにガラス事業を展開しており、3Mのデータがなければ東南アジア市場の動向は把握しにくい。東南アジアはPC及びカラーテレビの世界的生産拠点で、韓国と台湾のメーカーの動向がよくわかる。

 ユナイテッド・テクノロジーズ(UT)
  • URL:UTのIRプレゼン一覧
  • 概要:世界最大のエレベーターとエアコンメーカーで、世界中の商業用不動産のコアの部品を供給している。
  • 注目点:世界経済の先行指標としての商業用不動産の建築動向
    商業用ビル建築は全ての産業の中で資材と労働者を最も大量に使用する業界。そして世界中の無数のビルの中心になるインフラを供給しているUTは、その動向を最も的確に把握している。

業界見通しを判断するのに役立つカンファレンス・コール

 輸送業界
  • 企業:フェデックス
  • URL:IRプレゼン一覧
  • 注目点(1):同社が扱う荷物注文の分析に基づいた、世界経済の見通し
  • 注目点(2):取扱い荷物の地域別内訳

  • 企業:ユニオン・パシフィック鉄道
  • URL:IRプレゼン一覧
  • 概要:鉄道は膨大な量の貨物を輸送するから、経済成長を測る絶好の指標
  • 注目点:国内の石油、天然ガス開発ブームの現状を読む
    同社は新しく掘削した石油、天然ガス田を水圧で砕くときに使用する砂を運んでいる。運ばれる化学物質の動向を分析すれば、産業別の動向がつかめる。同社の情報は、国内の石油、天然ガス革命の恩恵をいち早く享受している建築業界の動向を、的確に予測するのに役立つ。

 消費関連
  • 企業:ウォルト・ディズニー
  • URL:IRプレゼン一覧
  • 注目点:同社はテーマパークをはじめ、映画、遊覧船、全国ネットのテレビ、コマーシャルなど、消費に関する多様な情報を提供してくれる。消費者が現在、旅行、商品、テーマパーク、クルーズ、映画等にどれだけお金を使っているかについて、考え抜いた判断を提供してくれる。

 住宅業界
  • 企業:トール・ブラザーズ
  • URL:IRプレゼン一覧
  • 注目点(1):コンドミニアムの売約戸数→住宅需要を占う
    同社が建てたコンドミニアムをどれぐらいの数のコミュニティーで販売中で、何戸売約したかを公表している。
  • 注目点(2):平均キャンセル率→住宅ローンの需要を判断
    同社の建てる住宅は高価格帯のものが多く、連邦政府機関が信用保証をする価格帯より高い。したがってトールが建てた住宅に対してローンがつきにくくなったということは、銀行が住宅ローンに関して基準を緩め始めたことを意味する。

  • 企業:ホーム・デポ
  • URL:IRプレゼン一覧
  • 概要:消費者動向全般、とりわけ住居関連の高額商品の支出の動向を反映する代用的な会社
  • 注目点(1):どの地域の支出が好調で、またどのタイプの商品がよく売れているかを教えてくれる。同社は取扱全商品に関して売上データを公表し、標準的な競合店に比べて多いか少ないかを教えてくれる。
  • 注目点(2):アメリカの消費者の支出のどれだけが住居関連に費やされているかを知らせてくれる。

 ハイテク製品の売れ行き
  • 企業:アヴネット
  • URL:IRプレゼン一覧
  • 概要:ハイテク製品に関するあらゆるコンポーネンツを取り扱っているため、どんな会社よりも詳しく市場の現状をつかんでいる。
  • 注目点(1):毎四半期10万人以上の顧客が、どんなハードやソフトの製品をどのくらい買っているかを、詳しく教えてくれる。同社の巨大な販売ネットワークを集計すれば、どの製品の需要が供給を上回っているといったことが、すぐわかるのだ。
  • 注目点(2):アヴネットがフラッシュ・メモリーやディスク・ドライブ、汎用セミ・コンダクターなどの売行きをどう見ているかを注意深く聞く。彼等がいったん口を開くと、ウェスタン・デジタル、シーゲート・テクノロジー、サンディスク、マイクロン・テクノロジーなどの株価が動く。

 その他の業界

以上が聞くに値するカンファレンスコールの一覧です。残念ながら全て英語ですが、米国経済と世界経済を占う貯めの情報としては非常に役に立つと思います。

時間があれば、日本でIRプレゼンを見るべき企業の一覧も記事としてまとめてみようと思います。

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ジム・クレイマーの“ローリスク”株式必勝講座

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