次世代通信5Gを徹底解剖!基礎知識から各国の動向、関連銘柄まで

2020年頃から5Gと呼ばれる次世代の通信技術の商用サービスが開始されます。

通信技術は約10年おきに世代交代が起きており、5Gは2012年からサービスが始まった4Gの次の世代にあたります。

通信技術にかかわる10年に1度の大きな波がこれからやってくるんです。

通信技術で世代交代が起きると、技術を確立するために様々な研究開発が行われ、通信インフラが更新され、デバイスも新しい通信方式に対応するために使われる電子部品ががらりと変わります。

大きな業界トレンドとなる5Gについて、基礎知識から今後のスケジュール、恩恵を受ける関連銘柄までまとめてみました。

5G(第5世代移動通信システム)とは?

5G通信は「第5世代移動通信システム」の略です。

現在のスマホで使われている通信技術が第4世代の4G。そして、4Gの次の第5世代の通信技術のことを「5G(ファイブ・ジー)」と呼んでいます。

移動通信システムはこれまで約10年ごとに世代交代をしてきましたが、2020年頃から第5世代の5Gの導入が始まる見込みです。

5G通信には、(1)超高速(現在の100倍の10Gbps)、(2)超低遅延(現在の10分の1の0.001秒)、(3)多数同時接続(現在の100倍の100万台/km2)、といった特徴があります。

5Gの導入により、今までよりも通信速度が圧倒的に早くなり(超高速)、身の回りにあるあらゆる製品がネットにつながるIoT時代(多数同時接続)が到来することになります。
 

移動通信システムの歴史を1G通信から簡単におさらい

5Gについて理解するために、移動通信システムの技術がどのように進化してきたのか、簡単に振り返ってみようと思います。

日本電信電話公社(現NTT)が1979年に1Gの運用を開始

アナログ方式になる1G通信は、日本電信電話公社(現在のNTT)が1979年に始めました。。

1Gの最初の用途は自動車電話サービスで、その後は1985年に「ショルダーフォン」という重量約3kgの肩かけ式携帯電話が登場しました。

1Gの通信速度は10Kbpsで、用途は音声通話に限られます。

1993年から2G通信によりメールが利用可能に

2G通信の運用は1993年から始まりました。

2Gでは1Gのアナログ方式からデジタル方式に進化したため、メールの利用が可能になります。ドコモのiモードが始まったのも2Gの時代です(1999年にサービス開始)。

2Gの通信速度は数十~数百Kbpsとなり、ポケベルやPHSが普及しました。

2001年から始まった3Gでは初の世界標準が誕生

2G時代に携帯電話が普及すると、ユーザーは高速通信を求めるようになります。

3G通信の運用が始まったのが2001年です。

3G通信では1~100Mbpsの高速通信が可能になり、音楽配信やウェブの閲覧、画像のやり取りが一般的に行われるようになりました。

2008年には3G通信に対応したiPhone 3Gも発売され、スマホ時代の幕開けとなります。

3G通信の高速化以外の特徴は、初の世界標準規格が決められたことです。

2Gまでは国ごとに規格が異なったため、日本で購入した携帯電話は他の国では使えませんでした。

しかし3Gでは国際連合の専門機関であるITU(国際電気通信連合)が標準化を進めたため、一つの端末を世界中で使えるようになりました。

2010年代の4G開始によりスマホでの動画視聴が一般的に

2012年から当時「3.9G」と呼ばれた100Mbpsクラスの高速データ通信が始まります。3.9G通信にはLTEとWiMAXの2種類があります。

3.9Gは3Gの国際規格(IMT-2000)を高度化したもので、4Gに限りなく近い通信技術として3.9Gと呼ばれていました。

その後2015年から、キャリアアグリゲーション(CA)という複数の電波で通信を同時利用する技術を使い、正真正銘の4GであるLTE-AdvancedとWiMAX2の運用が始まります。

これにより通信速度はLTEの100MbpsからLTE-Advancedでは数百Mbpsまで向上し、スマホでの動画視聴が一般的になります。

例えば、2000年代初頭では2時間の映画をダウンロードするのに21時間かかっていましたが、4G通信ではわずか30秒でダウンロードできます。

そして2020年、5G通信によりIoT時代が到来する

現在使われている4G通信は2012年からサービスが始まりましたが、これにより100Mbpsの高速データ通信が可能になり、スマホの普及が一気に進みました。

2020年頃から導入される5G通信では、10Gbps以上の高速通信が実現する予定です。

5Gの導入によって4Gから世界がどのように変わるのか?

その答えは次の3つのキーワードに集約されます。

  • 超高速化
  • 超低遅延化
  • 多数同時接続

 

「超高速化」により、現在の4Gの通信速度は数百Mbpsですが、5Gでは10Gbps以上の通信速度が実現します。2時間の映画をダウンロードするのに5G通信では約1.5秒しかかかりません(4Gでは30秒)。

「超低遅延化」により、4Gでは無線区間の遅延が0.01秒でしたが、5Gでは10分の1の0.001秒まで短縮されます。自動運転や遠隔手術などの分野では通信の遅延が人の命にかかわる事故を引き起こす可能性があります。しかし、5Gでは通信の遅延がほぼなくなるため、これらの次世代技術の実用化に近づきます。

「多数同時接続」により、現在の100倍以上の端末がインターネットに接続できるようになります。これによりあらゆるものがインターネットに接続するIoT時代が到来することになります。
 

4Gまでの技術進化は「通信速度の高速化」に焦点が当てられており、通信の用途もスマートフォンやタブレットなどのモバイル通信がメインでした。

一方で5Gでは「通信速度の高速化」だけでなく「低遅延化」や「多数同時接続」といった要素が加わります。これにより、通信の用途が携帯電話だけでなく自動運転、ドローン、産業機器、遠隔医療など様々な業界に広がっていく見込みです。
 

5Gの標準仕様策定に向けた取り組み

5Gの仕様を世界で標準化するための取り組みについてもご紹介します。

3GPP(3rd Generation Partnership Project)という国際プロジェクトが、5Gの仕様や標準化について2015年から検討を進めています。

3GPPは2019年末までに段階的に5Gの標準化仕様を策定する予定です。

3GPPが発表するReseaseによって私たちは5Gの標準化しようについて知ることができます。

2018年中頃までに超高速と超低遅延の仕様が確定

2016年から2017年初めにかけて検討されたRelease 14では、従来方式(LTE、LTE-Advanced)からの後方互換性のない5G専用の新しい無線通信方式の検討が行われました。
 

続くRelease 15では、Phase 1と呼ばれる5Gの初版の標準仕様が策定されます。

Phase 1では5Gの要求条件のうち、超高速化と低遅延化に関しての仕様が策定されます。
 

Release 15では、ノンスタンドアローン(NSA)と呼ばれる「4GのLTEとの併用を前提とした規格」を2017年12月までに策定して(12月21日に発表済み)、その後2018年6月までにスタンドアローン(SA)と呼ばれる「5G単独で動作する規格」の策定が完了する予定です。

  • ノンスタンドアローン(NSA):4GのLTEとの併用を前提とした規格→2017年12月までに策定(12月21日に発表済み)
  • スタンドアローン(SA):5G単独で動作する規格→2018年6月までに策定予定

 

2019年末までに5Gの全ての標準仕様が決まる見込み

その後、2019年末までに計画されているRelease 16において詳細仕様の検討が行われ、Phase 2と呼ばれる5Gの第2版の標準仕様が策定されます。

これで多数同時接続まで含めた5Gの全ての標準仕様が決まる予定です。
 

5G通信の実現に向けた各国の取り組み

日本では2020年に5G導入予定

上記で説明した通り、2017年12月21日にNSAの規格の標準仕様が策定されました。

日本の5Gは当面このNSAで導入を進める方針のため、日本で5Gを導入するのに必要なハードウェアの規格が2017年12月の段階で確定したと言えます。

日本では東京オリンピックに合わせて2020年から5Gの商用化を始める計画です。

米国は2018年、韓国は2019年に5Gを導入する予定

米国ではAT&Tが2018年末までに米国の12都市で5Gのサービスを開始すると発表しました。Verizonも2018年後半に5都市で5Gのサービスを導入すると発表しています。

韓国では平昌五輪の開幕に合わせて2018年に5Gのテストサービスを行い、2019年には5Gの商用化を実現する計画です。韓国の5G通信は独自規格になる見込みです。

中国でも2020年頃から5Gの商用サービスが始まる見込み

中国では2018年から2019年にかけて小規模商用テストが行われ、2020年以降に商用サービスが開始される見込みです。

中国移動(チャイナモバイル)は5Gを使ったスマート工場の実現を目指し、エリクソンやノキアと提携しました。

中国のスマホメーカー大手であるファーウェイは、3GPP規格に準拠した世界初の商用5Gチップセット(Balong 5G01)と商用5G端末「5G Consumer Premise Equipment」を発表しました。

チャイナモバイルとファーウェイの発表は、どちらも2018年2月にスペインで開催された世界最大級のモバイル通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2018」で行われました。
 

投資に活かす!5Gから恩恵を受ける関連銘柄のまとめ

最後に、これから本格化してくる5G導入により恩恵を受ける銘柄をまとめておきます。

大型株の関連銘柄

  • 日本電信電話(NTT):NTT東日本、西日本が5Gネットワークの整備を進めている
  • NTTドコモ:グローバルな5G標準化を進める上で、通信オペレータとして中心となる1社
  • KDDI:2020年の商用コアを目指して実証実験を進めている(JR東日本、NHK、セコムなどと実証実験)
  • ソフトバンク:2016年9月から5Gプロジェクトを開始
  • アンリツ:5Gシステム開発用のテスタを販売
  • コムシス:NTTの通信建設部門を母体として創業。基地局設置などを手掛けるため、5Gタワー建設の増加で恩恵
  • 協和エクシオ:通信建設業界でコムシスに次ぐ2番手。コムシスと同様に5G通信タワーの建設が増えるとポジティブ。
  • 村田製作所、TDK、太陽誘電:5Gで搭載量増加が期待される通信部品(フィルタや通信モジュールなど)を販売

 

中小型株の関連銘柄

  • ネクストジェン(3842):NTTドコモに通信管理システムを導入
  • サイバーコム(3852):富士ソフトの子会社で、通信分野のソフトウェア開発を行う
  • JIG-SAW(3914):クラウドやサーバーを対象にした自動監視システムを展開
  • 構造計画研究所(4748):独立系システムインテグレータ
  • アルチザネットワークス(6778):携帯電話の基地局向けの計測器を販売
  • ヨコオ(6800):車載通信用アンテナやスマホ用の回路検査機器を販売
  • アイレックス(6944):通信系コア技術に強いシステム開発会社
  • PALTEK(7587):独立系半導体商社
  • 理経(8266):IT機器を輸入販売する技術商社

 

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