2018年1-3月期の日本の四半期別GDPの動向をまとめました。実質GDPの成長率は9四半期ぶりにマイナスに転じ、市場コンセンサスも下回りました。
四半期GDPの短期トレンド
- 1-3月の実質GDPは前期比年率▲0.6%となりました。9四半期ぶりのマイナス成長で、市場コンセンサスも下回りました。
- GDPの内訳を見ると、民間在庫、住宅投資、個人消費などの内需関連が減少し、輸出も伸び率が鈍化しました。
- 個人消費の減少や輸出の成長鈍化は一時的な影響とみられ、4-6月には成長率が再びプラス転換すると見込まれています。
実質GDP成長率と需要別内訳(寄与度)
1-3月のGDPの内訳を見ると、民間在庫が最も大きなマイナス要因になっていることに加えて、住宅投資が3四半期連続でマイナスに寄与しています。
個人消費は前期比年率で▲0.01%で2四半期ぶりの減少、設備投資は▲0.3%で6四半期ぶりの減少となりました。
個人消費の減速は、大雪などの悪天候、新型スマホ需要の一巡、野菜価格高騰、などが影響しているようです。
大雪の影響で出荷も滞っており、民間在庫が増加してGDP成長にマイナス寄与した要因にもなっています。
実質GDPの長期トレンド
実質GDP・名目GDPとGDPデフレーター(物価動向)
実質GDPと名目GDP、そして物価動向を表すGDPデフレーター(=名目GDP÷実質GDP)の長期トレンドです。1-3月のGDPデフレーターは季節調整済み前期比で▲0.2%の微減でしたが、前年同期比では+0.4%です。物価は2015年以降はほぼ横ばいで安定して推移しています。
実質GDPの需要別内訳
続いて、GDPの需要別内訳の長期トレンドです。個人消費、住宅投資、設備投資、政府支出、公共投資、輸出、輸入の長期トレンドを表しています(金額は全て季節調整済み年率換算したもの)。
個人消費
個人消費は安定して右肩上がりで増加しています。1980年から2017年まで年率1.9%で増加してきており、この成長ペースは実質GDPと同じぐらいです。
住宅投資
住宅投資はサブプライムショックとリーマンショックの際に大きく減少し、その後回復を続けていましたが、消費増税のタイミングで再び落ち込みました。消費増税後も2014年10-12月から再び回復トレンドにありましたが、2017年7-9月から2018年1-3月まで3四半期連続で減少しています。マイナス金利後に急増したアパート建設の反動減によるものと思われます。
設備投資
設備投資は2010年を底に7年連続の増加となり、現在は過去最高水準にまで達しています。
政府支出と公共投資
政府支出も安定して右肩上がりで拡大しています。1980年からの年率成長率は2.4%で、実質GDPの成長率を上回っています。
公共投資は2000年以降右肩下がりでしたが、2008年からはほぼ横ばいで推移しています。
輸出入
輸出入は新興国経済の拡大や海外生産だの拡大によって大きく伸びました。
日本のGDP統計の概要
四半期別GDP速報の概要
- 概要:国民経済計算(GDP統計)のうち、支出系列および雇用者報酬について四半期ごとに公表されるデータ
- ヘッドライン:実質GDPの前期比年率
- 発表:1次速報→2・5・8・11月の15日前後8時50分、2次速報→3・6・9・12月の10日前後8時50分
- 出所:内閣府
- URL:http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
GDP統計を読む上での基礎知識については、以下の記事にまとめてあります。基礎知識を学んでから統計を見ることで、経済に対する理解がより深まるはずです。