米国と世界の株式市場に分散投資できるETFとインデックスファンドについて徹底調査した結果、最もおすすめできるETFが2つ見つかりました。過去のパフォーマンスや今後の経済見通しなどを考慮しておすすめETFを選びました。
また、パッシブ運用の基礎知識として、「アクティブ運用とパッシブ運用の違い」や「インデックスファンドとETFの違い」についても解説します。
たくさんのETFについて徹底的に調べたので、かなり文字数が多い記事になってしまっいました(なんと1万文字以上!)。なので時間がない人は、オレンジ色で囲まれたまとめの部分だけ読んでください。それだけでも重要なポイントは押さえることができます。
パッシブ運用の基礎知識
まずは「そもそもパッシブ運用って何?」という基本的なお話と、パッシブ運用ができる投資商品である「インデックスファンド」と「ETF」の違いについて解説します。
アクティブ運用とパッシブ運用の違い
株式の運用手法にはアクティブ運用とパッシブ運用の2種類があり、アクティブ運用は「TOPIXなどのインデックスのパフォーマンスに勝つこと」を目的とした投資である一方で、パッシブ運用の目的は「インデックスと同じパフォーマンスを実現すること」となります。
つまり、インデックスファンドやETFを購入すると、TOPIXやS&P500のような市場全体の動きを表す指数(インデックス)と同じパフォーマンスを購入者は得られることになります。
- 個別の株を目利きして投資するのは怖い
- アクティブ投資信託は手数料が高いから買いたくない
- インデックスに勝てるアクティブ投資信託を選ぶのは難しい
そんな方におすすめなのがインデックスファンドとETFです。
インデックスファンドとETFの違い
パッシブ運用ができる投資商品には「インデックスファンド」と「ETF」の2種類があります。
ETFは「上場投資信託(Exchange-Traded Fund)」の略で、インデックスファンドもETFもどちらも投資信託であることに違いはありません。投資の中身もどちらもインデックスに連動したパフォーマンスを目的としているので、同じです。
では何が違うのかというと、①取引形態、②手数料、③分配金の扱い、の3点が異なります。
インデックスファンドとETFの違い:取引形態
ETFはその名前(上場投資信託)の通り、市場に上場されています。なのでETFを購入する場合、リアルタイムに変動する市場価格で別の投資家から買うことになります。普通の株式投資と同じように、証券会社を通じて売買が行われるのがETFです。
一方でインデックスファンドは非上場なので、1日1回算出される基準価額に基づいて取引が行われます。証券会社や銀行を通じて購入することになりますが、購入できる場所はファンド毎に異なります。
インデックスファンドとETFの違い:手数料
インデックスファンドもETFも購入時の販売手数料と運用中の信託報酬がかかります。一般的に、ETFの方が手数料は安くなります。
例えば信託報酬を比べると、ETFの平均が0.36%であるのに対して、一般的な投資信託は1.12%と2倍以上の差があります(2019年2月25日時点。投資信託の手数料はアクティブ投信も含む。出所はアセットマネジメントOne)。
インデックスファンドとETFの違い:分配金の取り扱い
ETFでは、投資で得られた配当金から信託報酬などの費用を控除した金額が、分配金として投資家に現金で支払われます。分配金は再投資されずに投資家に必ず支払われるのがETFの特徴です。
一方でインデックスファンドの場合、分配金は再投資されることが多いです。
長期的に見ると、複利効果があるので分配金は受け取らずに再投資した方が資産は大きくなります。分配金を使って自分でETFを購入するのが面倒くさいという方は、インデックスファンドだと自動で再投資してくれるので便利です。
インデックスファンドとETFの違いをまとめると以下の通りです。
国内ETFと海外ETFの違い
国内ETFが国内市場に上場しているETF、海外ETFは海外市場に上場しているETFです。
国内ETFと海外ETFには①手数料、②流動性、③取引できる場所、の3点に違いがあります。
ETFの手数料
まず手数料ですが、国内ETFの場合は「売買手数料(売り買いした時にかかる手数料)」と「信託報酬(運用会社に毎年支払う運用報酬」の2種類がかかります。
一方で海外ETFの場合、国内ETFと同様の「売買手数料」と「信託報酬」に加えて「為替手数料」もかかります。これは海外ETFがドル建てで取引されているためです。
手数料の高さは売買手数料は「国内ETF<海外ETF」なんですが、信託報酬は「国内ETF>海外ETF」となります。海外ETFだと売買手数料に加えて為替手数料もかかるため、購入時と売却時にかかる費用は大きいですが、毎年かかる運用報酬は少なくなります。
なので、長期で保有するなら海外ETFの方が国内ETFよりもトータルのコストは安くなります。
ETFの流動性と取引できる場所
また、国内ETFの流動性(取引量)は日経平均やTOPIXと連動した人気銘柄だと高いですが、流動性が低いものも多いので、大きな金額を取引しようとすると売りたい時に売れない(買いたい時に買えない)リスクがあります。
最後に売買できる場所についてですが、国内ETFは国内市場に上場しているのですべての証券会社で売買可能ですが、海外ETFは海外市場に対応した証券会社でしか売買できません。
国内ETFと海外ETFの違いをまとめると以下のようになります。
- パッシブ運用の目的は「インデックスと同じパフォーマンスを実現すること」
- パッシブ運用ができる投資商品は「インデックスファンド」と「ETF」の2種類
手数料はETFの方が割安
ETFは投資家が分配金を受け取るが、インデックスファンドでは分配金が自動で再投資される - ETFには国内に上場してる国内ETFと海外に上場してる海外ETFの2種類がある
国内ETFは種類が少ないが、海外ETFは種類が多くていろんなものに投資できる
ただし、海外ETFは銘柄によって買える証券会社が異なる
インデックスファンドとETFの情報を調べる方法
インデックスファンドとETFの概要や過去のパフォーマンスはMorningstarで調べることができます。
まずインデックスファンドですが、ファンド詳細検索の「インデックスファンド区分」の項目で「インデックスファンドのみ」を選んで検索してください。
ETFについては、トップページのタブ「ETF」を選ぶと、国内に上場しているETFと海外市場に上場してるETFをそれぞれ探すことができます。
ETF過去のパフォーマンスを見るのはETFreplay.comというサイトが便利です。
下のグラフのようにETFの過去のリターン、ボラティリティ、配当利回り、相関関係などをチャートで見ることができます。
- Morningstar:インデックスファンドやETFを網羅的にリサーチ!
- ETFreplay.com:ETFのパフォーマンスや配当利回りのチャートを表示!
前置きが長くなってしまいましたが、ここからはおすすめのETFとインデックスファンドを投資対象別に紹介していきます。
米国の株式市場に投資できるETF・インデックスファンド
米国の株式市場に投資できるETF・インデックスファンドとして、「S&P500をベンチマークとしたもの」、「NYダウ平均をベンチマークとしたもの」、「米国のほぼすべての企業に分散投資できるETF」の3種類を紹介します。
S&P500(米国)と連動するETF・インデックスファンド
まずはアメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動するインデックスファンドとETFです。
S&P500はアメリカで上場している代表的な500銘柄の株価をもとに算出される「時価総額加重平均型」の株価指数です。
どのインデックスファンドもETFもちゃんとS&P500と連動して動いているので、コストが安いものから選べばいいと思います。
S&P500と連動するインデックスファンド・ETFのうち、手数料が安いものは以下の通りです。
分類 | ファンド名 | コード | 信託報酬 |
---|---|---|---|
インデックスファンド | SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド | 0.0938% | |
インデックスファンド | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968% | |
海外ETF | バンガード・S&P 500 ETF | VOO | 0.03% |
国内ETF | SPDR S&P500 ETF | 1557 | 0.0945% |
「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」は2019年9月に設定されたまだできたばかりのファンドですが、信託報酬は0.0938%なのでS&P500と連動する投資信託の中で最も安いです。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は信託報酬が0.0968%なので「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」よりもほんの少しだけ信託報酬が高いですが、ファンド設定日は2018年7月で運用期間が長いので、運用面は安心して任せられそうです。
SPDR S&P500 ETFは海外ETF(コード:SPY)ですが、銘柄コード1557で国内ETFとしても購入できます。
数年間持ち続けるのであれば、分配金を自分で再投資しなければいけない煩わしさはありますが、海外ETFのバンガード・S&P 500 ETFが最も運用コストは安いです。
NYダウ平均と連動するETF・インデックスファンド
続いて、S&P500と並んでアメリカの代表的な株価指数であるNYダウ平均と連動するインデックスファンドとETFを紹介します。
NYダウ平均はアメリカの主要業種の代表的な30銘柄で構成された「株価平均型」の株価指数です。
分類 | ファンド名 | コード | 信託報酬 |
---|---|---|---|
インデックスファンド | iFreeNYダウ・インデックス | 0.2475% | |
海外ETF | SPDRダウ工業株平均 ETF | DIA | 0.17% |
国内ETF | NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種 | 1546 | 0.45% |
S&P500のパッシブ運用と比べるとNYダウ平均の方が信託報酬は高くなります。運用コストはSPDRダウ工業株平均 ETFが最も安いです。
米国のほぼすべての企業に分散投資できるETF
S&P500の構成銘柄は500社、NYダウ平均の構成銘柄は30社です。それに対してアメリカには上場企業が4000社以上あります。そのため、ここまで紹介してきたETFでは米国市場に完全に分散投資をすることはできません。
次に紹介するETFは、米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーしている「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」をベンチマークとしています。
米国の株式市場に完全に分散投資したいのであればこちらのETFがおすすめとなります。
ファンド名 | コード | 信託報酬 |
---|---|---|
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | VTI | 0.03% |
VOO・DIA・VTIのパフォーマンス比較
S&P500と連動するVOO、NYダウ平均と連動するDIA、米国のほぼ全ての銘柄に分散投資するVTIの過去のリスクとパフォーマンスを比較しました。
それぞれの信託報酬の比較も載せておきます。
ファンド名 | コード | 信託報酬 | ベンチマーク |
---|---|---|---|
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | VTI | 0.03% | 米国のほぼ全銘柄 |
バンガード・S&P 500 ETF | VOO | 0.03% | S&P500 |
SPDRダウ工業株平均 ETF | DIA | 0.17% | NYダウ平均 |
パフォーマンスはどれもほぼ変わらないので、手数料が安いVTIかVOOがおすすめだと思います。
- 米国の株式市場に投資できるETFはたくさんあるが、手数料の安さで選ぶならS&P500ならVOO、NYダウ平均ならDIA、米国のほぼ全銘柄に分散投資するならVTIがおすすめ
- VOOもDIAもVTIも過去のパフォーマンスはほぼ変わらないので、3つの中でも特に手数料が安いVOOかVTIがおすすめ
- インデックスファンドならS&P500と連動する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が手数料安いのでおすすめ
米国の配当利回りが高い企業に投資できるETF・インデックスファンド
米国の配当利回りが高い企業に分散投資できる海外ETFを紹介します。
ファンド名 | コード | 信託報酬 | パフォーマンス |
---|---|---|---|
バンガード・米国高配当株式 | VYM | 0.06% | 10.76% |
iシェアーズ・コア 米国高配当株 | HDV | 0.08% | 9.90% |
SPDR S&P500高配当株式ETF | SPYD | 0.07% | 8.36% |
※パフォーマンスは2019年11月30日までの3年間の年率リターン
VYM、HDV、SPYDの過去のパフォーマンス
VYM、HDV、SPYDはどれも配当利回りが高い企業に分散投資できるETFですが、過去3年間のパフォーマンスは米国の株価指数S&P500に劣ります。
(最新のパフォーマンスはETFreplay.comでそれぞれのティッカーを入力すると表示できます。)
しかし2008年からの長期で見ると、配当利回りが高い企業への投資はリターンが高いだけでなくリスク(ボラティリティ)まで低いです。米国企業全体に投資をするよりも、低リスク・高リターンな投資を実現できます。
VYM、HDV、SPYDの特徴・違い
VYM、HDV、SPYDはそれぞれ特徴が少し異なります。
まず、運用開始時期はVYMが2006年11月からで最も長いです。続いてHDVが2011年3月から、SPYDが2015年10月から運用開始されています。
また、ETFの構成銘柄もそれぞれ異なります。
ETF | ベンチマーク | 構成銘柄 |
---|---|---|
VYM | FTSE High Dividend Yield Index | 米国で配当利回りが市場平均以上の銘柄で構成。構成銘柄は400社以上。投資配分は時価総額加重平均。 |
HDV | Morningstar Dividend Yield Focus Index | 米国の①事業の競争力があって、②財務の健全性が高いとMorningstarが認めた企業のうち、配当利回りが高い75社で構成。 |
SPYD | S&P 500 High Dividend Index | S&P500の中で配当利回りが高い上位80社で構成。投資配分は均等配分。 |
過去のパフォーマンスは「VYM>HDV>SPYD」の順番で高いです。
構成銘柄が多いVYMのパフォーマンスが高いのは少し意外です。SPYDは投資先に均等配分されるのでVYMよりも小型株効果が得られそうな気がしますが(時価総額加重平均よりも小型株への投資比率が高くなるため)、過去の実績としてはSPYDのパフォーマンスが一番低くなっています。
この3つの中からどれが1番いいか選ぶのは難しいです。①過去のリスクとパフォーマンス、②自分の運用方針とETFの構成銘柄、③配当利回りの水準、を加味して自分に合った1個を選ぶといいでしょう。
現在の配当利回りの水準は以下の通りです(ティッカークリックすると最新のデータが見れます)。
ETF | 配当利回り | 過去3年の配当成長率 |
---|---|---|
VYM | 3.36% | 12.56% |
HDV | 3.20% | 4.90% |
SPYD | 4.56% | 5.76% |
配当利回りだけを基準に上位80社で構成されているSPYDは常に配当利回りが高くなります。
配当の持続性というMorningstar独自の基準が入っているHDVよりも、構成銘柄数が多いVYMの方が配当成長率が高くなるのは意外です。
僕だったら、過去のリスク・リターンが良いVYMか、事業の強みや財務体質などの面も考慮されたHDVのどちらかを選ぶと思います。
VYMと連動したインデックスファンド
3つのETFの中でVYMだけは楽天がインデックスファンドを出しています。為替ヘッジは行われず、円ベースでのVYMのリターンを得ることができます。
ファンド名 | 信託報酬 | ベンチマーク |
---|---|---|
楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド | 0.192% | VYM |
ETFで購入する場合との違いは、VYMだと分配金を現金で受け取ることになりますが、こちらは分配金が再投資される点です。また、信託報酬はVYMが0.06%であるのに対してインデックスファンドは0.192%もかかるので、手数料はやや高めです。
米国の連続増配企業に投資できるETF・インデックスファンド
ここまでは配当利回りが高い企業に投資できるETFを紹介してきました。配当という観点は同じですが、次に増配を続けている米国企業に分散投資できるETFを紹介します。
ファンド名 | コード | 信託報酬 | パフォーマンス | 設定日 |
---|---|---|---|---|
バンガード・米国増配株式ETF | VIG | 0.06% | 12.63% | 2006/4/21 |
SPDR S&P米国高配当株式ETF | SDY | 0.35% | 13.09% | 2005/11/8 |
※パフォーマンスは2019年11月30日までの10年間の年率リターン
バンガード・米国増配株式ETF(VIG)はNASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックスをベンチマークとしたETFです。10年以上連続で増配した実績を持つ米国の普通株で構成されています。
SPDR S&P米国高配当株式ETF(SDY)はS&Pハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツ指数(通称、S&P高配当貴族指数。銘柄コードはSPHYDA)をベンチマークとしたETFです。S&Pコンポジット1500指数(米国の大型株・中型株・小型株が含まれた株価指数)のうち、過去20年以上連続で増配を続けている高配当利回り銘柄で構成されています。
SDYでは増配だけでなく配当利回りの高さも考慮されて銘柄が選ばれています。
VIGとSDYの過去のパフォーマンス
VIGとSDYのパフォーマンスを、高配当利回りETFであるVYMと米国の株式指数であるS&P500と比較してみました。
パフォーマンスは「増配企業に投資したVIGとSDY」の方が、「高配当利回り企業に投資したVYM」や「S&P500」よりも高かった(しかもVIGはボラティリティまで低かった)ことが分かりました。
それぞれ投資の目的が異なるのでこれだけでどちらが良いか判断できませんが、「増配」と「高配当利回り」のどちらも考慮されたSDYは、米国企業に投資するETFの中ではかなり良さそうです。
連続増配企業に投資できるインデックスファンド
SDYと似ているインデックスファンドに、野村アセマネが運用している野村インデックスF・米国株式配当貴族(為替ヘッジなし、為替ヘッジあり)があります。
S&P500構成銘柄のうち25年以上連続で増配している企業で構成された指数「S&P500配当貴族指数(銘柄コードはSPDAUDP)」をベンチマークとしたインデックスファンドです。
ファンド名 | 信託報酬 | 設定日 | ベンチマーク |
---|---|---|---|
野村インデックスF・米国株式配当貴族 | 0.55% | 2017/1/10 | S&P500配当貴族指数 |
S&P500配当貴族指数をベンチマークしたインデックスファンドには三菱UFJ国際投信が運用するザ・レジェンドや三井住友トラストが運用する米国株配当貴族インデックスがありますが、手数料は野村アセマネが一番安いです。
野村インデックスF・米国株式配当貴族は設定されてからまだ3年しか経っていないため、長期でSDYとパフォーマンスを比較することはできません。
参考までに過去10年の年率リターンはS&P高配当貴族指数(SDYのベンチマーク)は13.47%、S&P500配当貴族指数(野村のインデックスファンドのベンチマーク)は14.76%でした。インデックスファンドなので手数料は高いですが、それを考慮してもインデックスファンドの方がドルベースではパフォーマンスが高かった可能性があります。
- 連続増配企業に投資をするならVIG、連続増配に加えて利回りが高い企業に投資したいならSDY
- 信託報酬はVIGの方が若干安く、過去のパフォーマンスもVIGの方が若干良い
- 連続増配企業に投資するインデックスファンドには野村インデックスF・米国株式配当貴族がある
- 野村インデックスF・米国株式配当貴族のベンチマーク「S&P500配当貴族指数」の過去のパフォーマンスは、SDYのベンチマーク「S&P高配当貴族指数」よりも良い
世界の株式市場に投資できるETF・インデックスファンド
ここまで米国株に投資できるETFを紹介してきました。米国株は過去のパフォーマンスは素晴らしいですが、今後もこのペースを維持できるとは限りません。
ここでは、特定の国のリスクを排除して、全世界の株式に分散投資できるようなインデックスファンドとETFを紹介します。
ファンド名 | コード | 信託報酬 | 対象 |
---|---|---|---|
バンガード・トータル・ワールド・ストック | VT | 0.09% | 世界の大型~小型株 |
iシェアーズ MSCI ACWI ETF | ACWI | 0.33% | 世界の大型・中型株 |
iシェアーズ グローバル100 ETF | IOO | 0.40% | 世界の大型株100銘柄 |
バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT)は世界の株式市場と連動したFTSE Global All Cap IndexをベンチマークにしているETFです。FTSE Global All Cap Indexは先進国・新興国の約8,000社(大型株~小型株)の株価をもとに時価総額加重平均で算出されます。
この他に世界の大型株と中型株に投資できるiシェアーズ MSCI ACWI ETF(ACWI)や大型株100社に投資できるiシェアーズ グローバル100 ETF(IOO)がありますが、これらはVTと比べると手数料が高めです。
下のグラフはVT、ACWI、IOOの過去のパフォーマンスです。
VTとACWIはほぼ同じような価格推移なので、手数料が高いACWIに投資する意味はなさそうです。
また、小型株効果(小型株の方が大型株よりもアウトパフォームしやすい)を考えると、大型株だけで構成されるIOOよりもVTの方が良さそうです。実際に過去のパフォーマンスでは、VTがIOOを上回っています。
以上のことから、世界株式に投資するETFの中ではVTが一番オススメです。
ただし、VTは時価総額加重平均型の株価指数であるため、時価総額の半分以上は米国企業です。上のグラフの通り、VTはS&P500と似たパフォーマンスになるため、あまり地域分散できているとは言えません。
そこで、米国以外の世界の株式市場に投資できるETFをいくつか紹介します。
米国以外の世界株式に分散投資できるETF
ファンド名 | コード | 信託報酬 | 対象 |
---|---|---|---|
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF | VSS | 0.12% | 米国除く世界の小型株 |
SPDRポートフォリオ先進国株式(除く米国)ETF | SPDW | 0.04% | 米国除く先進国の大型~小型株 |
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF | VEU | 0.09% | 米国除く世界の大型・中型株 |
米国を除いて「世界の小型株」、「世界の大型・中型株」、「先進国の大型~小型株」に投資できるETFを紹介しました。
米国以外の世界株に投資できるETFはこの他にVEA、CWI、VXUS、PXFがありますが、パフォーマンスは上で紹介したETFと同じようになる一方で手数料は高いので、上の表の中から選べばいいと思います。
VSS、SPDW、VEUの過去のパフォーマンスは以下の通りです。
2010年からのパフォーマンスは「VSS(世界の小型株)>SPDW(先進国の大型~小型株)>VEU(世界の大型・中型株)」でした。
シンプルに小型株効果が出た結果ですね。
全世界株式に投資できるインデックスファンド
ここまでは世界に分散投資できるETFを紹介してきましたが、海外ETFを購入できない人向けにインデックスファンドもご紹介しておきます。
世界の株式市場に分散投資できるインデックスファンドには以下のようなものがあります。
ファンド名 | 信託報酬 | 対象 |
---|---|---|
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 0.11% | 世界の大型~小型株 |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 0.11% | 日本を除く世界の大型~小型株 |
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) | 0.11% | 国内・先進国・新興国に均等に分散投資 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンドはFTSE Global All Cap Indexをベンチマークとしているインデックスファンドです。信託報酬は年率0.11%と安いので、配当再投資の手間を考えると海外ETFのVTではなくこちらを買ってもいいと思います。
日本の未来に悲観的なら日本を除く世界の株式に分散投資できるeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)ですね。こちらも信託報酬は0.11%と安いです。
世界株に分散投資できるインデックスファンドは信託報酬が他のインデックスファンドと比べて安いものが多いですね。
- 世界の株式市場に分散投資するならVTがおすすめ
- ただしVTは米国依存度が高いので、米国以外の地域に分散したいなら別のETFが必要
- 米国以外の地域に分散投資するなら「米国を除く世界の小型株」に投資できるVSSがおすすめ
- インデックスファンドなら信託報酬が安いSBI・全世界株式インデックス・ファンドかeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)がおすすめ
まとめ
当記事では前半でパッシブ運用の基礎知識について解説し、後半で米国株と世界の株式市場に投資できるおすすめのETFとインデックスファンドを紹介してきました。
本当は新興国株と日本に投資できるETFとインデックスファンドも紹介したかったんですがさすがに長くなりすぎるので、これは別の記事でまとめたいと思います。
当記事の総まとめです。
- 米国市場に分散投資するならETFのVOO(S&P500がベンチマーク)かVTI(米国のほぼ全銘柄に分散投資)がおすすめ。インデックスファンドならS&P500と連動する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が手数料安いのでおすすめ
- 配当利回りが高い米国企業に投資するならETFのVYMかHDVがおすすめ。どちらも長期ではS&P500をアウトパフォーム(直近3年はアンダーパフォーム)
- 配当利回りの高さに加えて連続増配している企業に投資したいならETFのSDYがおすすめ。過去のパフォーマンスはVYMやS&P500よりも良い
- 世界の株式市場に分散投資するなら、米国含む全世界に投資できるVTか、米国を除く世界の小型株に投資できるVSSがおすすめ
最終的な結論はこのツイートに書いた感じかなって思います。異論反論大歓迎なので、ご意見ある方はTwitterまでご連絡ください。
ETFとインデックスファンドについて調べまくった結果、個人がインデックス運用するなら
▶️米国の連続増配&高配当利回り銘柄に投資できるSDY
▶️米国を除く世界の小型株に分散投資できるVSSに分散投資するのが良さそうって結論になった。
異論は認める。
— 上原@外銀→投資家 (@uehara_sato4) January 6, 2020