株式投資

機関投資家が予想する日本株式市場の今後の見通し

機関投資家が出している今後の日本株式市場の予想をまとめました。

JPモルガン、ゴールドマン・サックス、三井住友アセットマネジメントは日本株に対して強気な見方をしてる一方で、アセットマネジメントOneだけは9月末まで株式市場が弱含むことを予想してます。

各機関投資家の予想は以下のとおりです。

JPモルガンは業績拡大と割安感が株価を下支えすると予想

JPモルガン・アセット・マネジメントは7月27日に「日本株式の投資環境と今後の見通し」というレポートを発行しています。

詳細はレポートをご覧いただければと思いますが、JPモルガンは日本株に対して強気な姿勢を持っているようです。

ポイントだけ簡単にまとめます。

Topixの長期パフォーマンスを見返すしてみると、バブル崩壊以降の長期にわたるバリュエーションの調整が2011年頃に完了しました。そして、2011年以降は割安感よりも業績の拡大が株価のドライバーとなってきました。

しかし、現在の日本株のバリュエーションは過去の平均と比べても、欧州や米国と比べても依然として割安な水準にあります。

日本企業の体質改善も進んでおり、収益性は改善が続いています。

日本企業の収益体質は昔に比べると改善している一方で、バリュエーションの水準は依然として安いので、JPモルガンは今後も利益成長が株価を下支えすると期待してます。
 

ゴールドマン・サックスは新興国株式に最も強気

続いてゴールドマン・サックス・アセットマネジメント(GSAM)の2018年後半の投資環境見通しです。

5月時点のレポートなのでちょっとデータが古いですが、ゴールドマン・サックスも以下のように今後はリスク資産の反発を期待してます。

年初来発表された経済指標にやや減速が見られたことから、経済成長に対する市場の期待は低下し、上振れ余地が生じています。また、金利上昇により、今後さらなる急上昇が生じるリスクは低下しました。さらに、株式や新興国資産などが調整したことで、この先リスク資産が反発する可能性が高まっています。

各国の経済成長の見通し

以下のように、ゴールドマン・サックスは米国と英国で経済成長が加速し、ユーロ圏、日本、中国では成長率が減速すると予想してます。

米国は労働市場の逼迫からインフレは緩やかに上昇し、財政拡大の効果も現れて経済成長は加速すると予測されています。

市場見通しは新興国株式に最も強気

ゴールドマン・サックスのアセットクラス別の市場見通しは以下の通りです。

年初来の経済指標にやや減速が見られたため市場の経済成長に対する期待値は低下しており、今後は株価にアップサイドがあると見ているようです。

金利上昇と株価の関係:金利が上がると株価は上がる?下がる?

GSAMのレポートの中で、このグラフが興味深かったです。

青い線が米国の10年債利回り、灰色に影がかかっている部分が10年債利回りが上昇してる局面、そして矢印のところに書かれている数字が金利上昇後の米国株式のリターンです。

なぜか「金利が上昇すると株価が下がる」と誤解をして人が多い気がするのですが、実際は上のグラフの通り金利が上昇した後はほとんどの局面で株価も上昇しています。

景気循環的な考え方でこの理由を説明するならば、「金融緩和による金融相場から金利が上昇して業績拡大が株価を牽引する業績相場に移行する」ということだと解釈してます。

景気循環の考え方についてはレイ・ダリオの動画がとても分かりやすいので紹介しておきます。経済と相場の見通しを考える上でかなり参考になると思います。

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三井住友アセットマネジメントは日経平均の見通しを情報修正

7月25日に出された三井住友アセットマネジメントのレポートでは、今後の日経平均株価を9月末に23,000円、12月末に23,500円、2019年3月末に23,800円、2019年6月末に24,000円と予想してます。

レポートのポイントは以下の通りです。

世界経済については、ユーロ圏の製造業に慎重さが残っているものの非製造業は改善傾向にあり、世界経済全体に対して過度に悲観する必要はないと考えています。米中貿易摩擦に関しても、米中制裁関税が500億ドルに留まるのであれば世界経済に与える影響も限定的と見ているようです。

今後の相場展開としては、短期的には11月6日の米中間選挙が終われば、選挙対策の必要がなくなるため貿易問題に対するトランプ大統領の強気姿勢が軟化する可能性があります。

米中貿易摩擦に対する市場の懸念が後退し、日本では業績予想を上方修正する企業が多く見られ、日経平均株価は上昇すると期待してるようです。
 

アセットマネジメントOneは9月末に向けて弱い動きを予想

アセットマネジメントOneが7月20日に市場環境見通しのレポートを出してます。

レポートのポイントは以下の通りです。

足元の株価動向を振り返ると、3月末から5月半ばにかけては円安を背景に株価は堅調でしたが、その後6月の後半からは米中貿易摩擦への警戒から株価は弱含んでいます。

今後の日本株式の見通しについては、世界経済の成長が継続していることから、日本企業の底堅い業績見通しが相場のプラス材料になると見ています。一方で、米中貿易摩擦や日米の政治情勢、米国の金利上昇などが相場の重しとなり、9月末までは弱含むと予想してるようです。
 

まとめ

機関投資家は日本の株式市場の中でもかなり大きなシェアを持っているので、彼らが日本株に対して強気なのか弱気なのかは今後の株価を予想する上でとても重要になります。

主な機関投資家は市場見通しについて定期的にレポートを出しているので、ぜひチェックしてみてください。

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  • この記事を書いた人

上原@投資家

「株式投資で人生を豊かにする方法」をテーマに情報発信しています。機関投資家の視点で最新のマーケット情報&投資ノウハウをお届け。【経歴】外資系金融で日本株アナリスト→外資系ファンドのファンドマネージャー→ニート【現在の投資先】日本株、米国株、新興国株、エンジェル投資、国内不動産、海外不動産、仮想通貨、NFT。

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