杉村倉庫(9307)はカジノ関連銘柄ではない!? その理由を解説




杉村倉庫は大阪拠点の倉庫会社ですが、カジノ関連銘柄としてよく話題にあがります。

しかし、杉村倉庫が持っている資産をきちんと分析してみると、実は大阪にカジノが誘致されても杉村倉庫への恩恵はあまりないことが分かります。

杉村倉庫がカジノ関連ではないと考える理由を解説します。

カジノ誘致に向けた大阪の取り組み

大阪は関西国際空港から1時間県内にある人工島「夢洲(ゆめしま)」に、2025年開催予定の万博の誘致を目指しています。

万博誘致の成功を見据えて、カジノを含む統合型リゾート(IR)を2024年に夢洲に開業することも目指しています。スケジュール的にはかなりギリギリの状況ですが、万博とカジノの相乗効果を狙っています。

図:夢洲の目指す姿

夢洲開発に関する参考ページ

夢洲まちづくり構想(案)について

 

杉村倉庫(9307)は本当にカジノ関連銘柄!?

杉村倉庫は大阪市内に本社がある倉庫会社です。しかし実際の利益の半分以上は不動産事業から生まれている不動産会社でもあります。

杉村倉庫がカジノ関連として注目を浴びた理由

杉村倉庫がカジノ関連銘柄として注目され始めたのは2017年10月頃です。

以下のツイートのように杉村倉庫はカジノ候補地の夢洲近くに倉庫用の土地を所有しており、カジノ関連銘柄として2017年10月、2018年1月に株価が急騰しています。

以下は2018年3月末時点の杉村倉庫のバランスシートです。

資産 負債・純資産
現預金 47億 有利子負債 99億
建物 87億 その他負債 32億
土地 45億 負債合計 131億
投資有価証券 19億 純資産 119億
その他 51億
総資産 249億 負債・純資産 249億

出所:2018年3月期の有価証券報告書

総資産249億円のうち、45億円が土地になっています。

杉村倉庫がカジノ誘致で恩恵を受けるためには、2つの条件があると思います。

1.この45億円の土地が値上がりすること
2.値上がりした土地を売却して現金化すること

それぞれの条件について考えてみましょう。

1.杉村倉庫が所有する土地は値上がりするか?

以下の表は杉村倉庫が保有している土地の一覧です(2017年度の有報より)。

本店と大阪港営業所が夢洲に近い土地ですが、それぞれ6.8億円、5.2億円の帳簿価額です。

バランスシートに計上されている帳簿価額は土地の取得価額が基準になっているので、上記の数字に土地の含み益は含まれていません。

会社の沿革を見ると、大正5年に大阪港営業所を開設、大正14年に本社を現在の大阪市港区に移転しています。

大阪港営業所は大正5年に取得された土地なので、カジノに関係なく含み益はすでに相当な金額になっていそうです。
 

以下の地図はカジノ候補地の夢洲と杉村倉庫の土地の位置関係です。

カジノ関連銘柄として騒がれている杉村倉庫ですが、夢洲の中に土地を持っているわけではないんですね。夢洲から車で20分ぐらいの場所に大阪港営業所があります。

夢洲からそれなりに距離が離れているので、仮に万博やカジノが夢洲に誘致されても杉村倉庫の土地の価格はそこまで大きく上がらなそうです。

なので1つ目の条件「45億円の土地が値上がりすること」については、「カジノ候補地と離れた場所にある土地なので値上げ効果はあまりなさそうだが、カジノとは関係なくすでに十分な含み益を抱えている」というのが結論です。

2.杉村倉庫は値上がりした土地を売却して現金化できるか?

杉村倉庫が保有する土地はカジノと関係なく相当な含み益を抱えてそうです。

しかし一方で、これらの土地を杉村倉庫が売却する可能性はあるでしょうか?

いくら土地に含み益が出ても、売却して現金化しなければ純資産が増えることはありません。
 

杉村倉庫は大正時代から今の土地で事業を営んでいる老舗企業です。

大阪港営業所はユニバーサル・スタジオ・ジャパンと距離が近いので、過去に価格が大きく上がったこともありそうですが、その時も土地を売ることなく今の場所で事業を続けています。

また、夢洲の中に土地を持っているわけではないので、再開発のために土地を手放す必要もなさそうです。

つまり、仮にカジノ効果で土地価格が大きく上昇したとしても、その地で100年以上も事業を営む老舗企業が土地を売却する可能性はかなり低そうです。

2つ目の条件「値上がりした土地を売却して現金化すること」については、現状では「土地が売却されて含み益が実現する可能性はかなり低い」というのが私の見解です。
 

結論:杉村倉庫はカジノ関連銘柄ではない

杉村倉庫は確かにカジノ候補地の近くに土地を持っていますが、少し距離があるのでカジノ誘致が決まっても土地の値上がりはそこまで大きくなさそうです。

そもそも、大正時代に取得した土地なので、カジノに関係なく既にかなりの額の含み益を抱えていると思います。

しかし、杉村倉庫がその土地を売却して含み益が実現するかというと、その可能性はかなり低そうです。

つまり、カジノが誘致されたとしても杉村倉庫のバランスシートの形が変わることはありません。

杉村倉庫は土地の含み益の観点からは、カジノ関連銘柄とは言えなそうです。

親子上場解消のためのTOBは可能性あるかも?

ちなみに、杉村倉庫の株式は野村ホールディングス傘下の野村土地建物が46.6%、野村ホールディングスが4.4%を所有しています。野村グループが50%以上を所有しており、親子上場解消のためのTOBは可能性としてありえると思います。

杉村倉庫のバリュエーションや業績推移は以下のサイトから見ることができます。

2018年7月20日時点では決して安いバリュエーションとは言えませんが、PBRが1倍を切るような割安なレベルまで株価が下がれば、野村ホールディングスにTOBされる可能性はありそうです。

とはいえ、「杉村倉庫はカジノ関連銘柄とは言えない」というのが私の結論です。

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