相対評価としてのバリュエーション指標

これまでにバリュエーション指標の基本的な考え方と、計算するときの注意点(将来予想をベースにする)について説明してきました。

今回は、バリュエーション指標の使い方と「相対評価」という視点を紹介します。

バリュエーション指標はあくまでも相対的な比較で評価する

株価の評価には相対評価と絶対評価がありますが、PERやPBRなどのバリュエーション指標は主に相対評価のために使います。

(理論PERや理論PBRを求めることで絶対価値を算出することもできますが、これについては絶対評価についての記事で詳しく紹介します)

相対評価とはつまり、「何か他のものと比べて高いか安いかを評価する」ということです。
 

PERやPBRには、「これ以上の水準だったら割高だ」という絶対的な水準はありません。

なんとなく、
PERが20倍を超えると割高に感じたり、
PBRが1倍を切ると解散価値を下回るので割安だ、
と考えることはあります。

しかし、この評価の仕方は正解ではありません。
 

株価の相対評価でPERやPBRを使う時は、「あるべき水準」を考えるのではなく、「他との比較」によって割高か割安かを判断します。
 

バリュエーション指標は(1)過去のレンジ、(2)同業他社の水準、と比較する

ではどうやって比較を行うのか?

その答えは、その会社の過去のバリュエーションの水準や、同業他社との水準と比較です。
 

(1)過去のバリュエーション水準と比較する

まずは過去との比較です。

評価対象企業の株価が過去にどんなバリュエーションで取引されていたのかを調べます。

過去のトレンドにおいて、PERやPBRなどの指標の変動が小さかったり、一定の水準に収れんする動きがあれば、株価の評価項目としてそのバリュエーション指標は使えます。

そして過去のバリュエーションのレンジと今の値を比較して、割高か割安なのかを判断します。
 

しかし注意点は、単純に過去平均と比べて高いか安いかを判断するだけでは不十分なことです。

「いつの時点と比較するか」、「どのバリュエーション指標を使うのか」という判断が必要になり、ここには主観が混じります。

「いつの時点と比較するか」については、今の事業環境や収益性と似ている時期を抽出するなど、単純に「過去10年間の平均と比較する」するのではなく、合理的な理由にもとづいて比較対象の時点を選びます。

「どのバリュエーション指標を使うのか」についても同様に合理的な理由が必要です。
 

例えば、
・1番ブレが少ないバリュエーション指標を使うのか、
・収益悪化局面なので下値を探る意味でPBRや配当利回りを使うのか、
・投資拡大局面の評価をするためにEV/EBITDAを見るのか、
のようにいろいろな考え方ができます。

バリュエーション指標も1つ1つ使い方が異なるので、比較対象の企業に合ったものを選ばなくてはいけません。
 

(2)同業他社のバリュエーションと比較する

過去の比較と同様に重要なのが同業他社との比較です。

似たような事業を行っている会社同士は、株式市場から同じ土台の上で比較されます。

すると、自然とバリュエーションの水準も似てきます。

同じビジネスをやっていて、成長性も同じ、財務体質も収益性も同じ企業が2社あるとしたら、両社のバリュエーションは同じ水準になるはずです。

もしその2社のバリュエーションに差があるとすれば、どちらかが割安または割高に評価されていることになります。
 

しかしここでの注意点は、まったく同じ会社は存在しないということです。

収益性と成長性が全く同じだったとしても、財務体質が異なればバリュエーションも異なります。

投資に積極的な会社とそうでない会社があったとしたら、積極的な会社の方がPERは低くなるかもしれませんが、EV/EBITDAでは同じぐらいの水準になるかもしれません。

同業他社とバリュエーションを比較するときは、会社ごとの特徴の違いによる影響もしっかりと加味しなくてはいけません。
 

相対比較としてのバリュエーションのまとめ

最後に簡単なまとめです。

  • PERやPBRなどのバリュエーション指標は、基本的には相対評価に使われる
  • バリュエーション指標による相対評価では、(1)過去の水準との比較、(2)同業他社の水準との比較、が行われる
  • 過去と比較をするときは、「いつの時点と比べるか」、「どの指標を用いるか」を考える必要あり
  • 同業他社と比較するときは、会社の特徴によるバリュエーションへの影響を加味する必要あり

この記事が参考になったらシェアをお願いします!

コメントを残す